高機動幻想ガンパレード・マーチ |
大戦中だった1945年に謎の宇宙生物により侵略された架空の地球で、国体を維持したまま現代を迎えた日本は、当初難を逃れたものの1999年に九州に上陸され、兵力不足から高校生を駆り出して即席で軍事教練を施して迎撃する。アドベンチャー型ストラテジーゲーム?
初代プレイステーション向けに出た昔のゲームで、いわゆるシミュレーションゲーム好きだけでなくコアなゲーム好きの間で語られ続けており、もう入手は難しいことから自分はプレイをあきらめていたけど、調べてみたらプレイステーション3のアーカイブ用ソフトとしてまだ遊べることを知り、いまさらながらに買ってプレイしてみた。まあまあおもしろかった。
内容の前に入手に随分手間が掛かったのでそのことから話しておきたい。
プレイステーション3のオンラインストアはもうとっくに廃止されていたはずだったのだけど、ユーザーの根強い要望によりソニーは廃止を取りやめていた。従って2025年現在もまだ利用可能なのだけど、クレジットカードによる決済はできなくなっており、購入に使えるのはウォレットのみとなっていた。
そのウォレットへはウェブ上のオンラインストアから入金すればよかったので、ログインしてチャージ(入金)してみたのだけど、プレイステーション3のほうになかなか反映されないなあと不思議に思って確認してみたところ、どうやら父親のためにラジオを購入したときに作ったソニーアカウントの方にチャージしていたことが判明した。
ゲームと家電とはそもそもまったく別の種類のアカウントだったはずなんだけど、ソニーが統合したのでどっちのアカウントでもゲームのストアにログインできるようになっていた。アホかと。アカウント間でウォレットのやりとりができないか調べてみたけど無理だった。
仕方ないのでプレイステーション3のほうに家電用のアカウントでログインしたところ、ウォレットへのチャージが反映されていた。というわけで無事ソフトを購入してインストールし、起動するところまでたどりついた。長かった。
ゲームは主人公の男の子が「戦車学校」に初登校するところから始まる。現実の日本では大戦への反省から(?)「戦車」を「特車」と呼び変えているため、この作品の舞台が架空の日本であることがよくわかる。既存の女子高の敷地内に間借りするよう建てられたプレハブ校舎で、間に合わせの教育を受けてから戦争へと駆り出される生徒たちの日常が描かれる。
3Dのフィールドを好きに歩き回れる。ただし、当時のハードウェア性能の限界から、固定カメラとなっている。ファイナルファンタジー7とか初代メタルギアソリッドなんかと同じ。引きのカメラだとキャラの判別がつかないドット絵になる。
リアルタイムに時間が過ぎていき、授業もちゃんと定刻に始まるので遅れると遅刻となる。生徒や先生がそこらじゅうを歩き回っているので好きに話しかけられる。といっても、間借りしている女子高の生徒たちは一部を除いて非常にそっけない。
戦車学校の生徒たちはまず戦闘クラスだけが集まった状態で始まり、一通りゲームに慣れたところで新たに整備クラスが合流してくる。ちゃんと後方部隊があってゲームとして扱われているところが本格的だなと思った。なお、この戦車学校一つが一小隊という扱いになっており、このような学校が全国にあるらしい。よく把握しきれていないけど全部で二三十人ぐらいキャラがいる。
小隊には「戦車」というか人型戦闘ロボットが三体配備されており、そのうちの一体だけ複座つまり二人乗りのがあって主人公とヒロイン(?)が乗り、あとの一体ずつには主人公の親友キャラとサブヒロイン(?)が乗る。
じゃあユニットはこの三体かというとそうではなくて、パワードスーツを着た歩兵みたいなユニットや、戦闘指揮者といった後方支援ユニット、それに味方の他の部隊の戦闘機みたいなユニットがある。この中で自分が動かせるのは自機のみで、あとは勝手に動く。
このゲームは戦闘パートと日常パートとを繰り返しながら一人のパイロットとして小隊、いや日本を勝利に導くゲームとなっている。
まずは自分の能力を訓練により上げていかなければならない。各種の訓練設備により能力値やスキルを上げていくことができる。このとき、仲間と一緒に訓練すると効果が上がったり仲間のスキルを覚えたりすることもある。もちろんそのためにはまず仲良くなることが必要となる。
人に話しかけると中に縦軸と横軸のある円が出てきて、なんと声のトーンとかを選ぶようになっている。どうやらそれによって相手の受け取り方が変わるみたいだった。正直すごく面倒くさかった。
周りに他の人がいる状況では小さな声で話さないと周りの人が絡んできて対話イベントが発生しない。このゲーム、3人以上だと実のある会話ができないという、なかなか芯を突いたシステムだと思う。
好感度システムみたいなものがあるのだけど、おもしろいことに自分から相手への好感度と相手から自分への好感度とが完全に独立している。つまり、自分は相手のことを親友だと思っていても相手が自分のことをどうでもいいと思っていたり、その逆の状況になったりもする。互いの意識がある程度合わないとうまくいかないし好感度も上がりにくくなっている。
…なんか全部説明すると時間が掛かりそうなので、ある程度かいつまんで書くことにする。
ズバリこのゲームがなぜここまで語り継がれているのかというと、おそらくまずはキャラクターの豊富さにあると思う。男女様々なタイプのキャラが出てくるので、かつて同人界隈が盛り上がっていたみたいだった。
次に自由度の高さだろうか。自分はメインヒロイン(?)の芝村舞ではなく壬生屋未央と仲良くなって恋人になった。芝村舞はクセのあるキャラなので好意を持ってもらうのが難しく感じた。一方で壬生屋未央は巫女みたいで男と縁遠そうなキャラなのだけど、割と素直に好意を受け取ってくれるのですぐに好感度が上がった。
恋人同士で会話しているとムードが上がってHな雰囲気になり、壬生屋未央の感情情報が「ヤリてぇ」みたいになってて笑った。この雰囲気になると仕事ができなくなる。ほかにも、先生や委員長が同じフィールドにいると空気が硬くなったり、疲れた人がいるとダラけた空気になったりして、イベントの成否に影響が出るらしい。
二股もできるのだけど、仲良くしているところに鉢合わせるとひどいことになっていっきに好感度が減るw ほかに自分とは全然関係ない人同士がなにやら勝手に戦っていたこともあった。
小隊の司令として赴任してきた善行忠孝が途中で降ろされて違うキャラになった。どうやら戦闘で負けが続くとこういうことが起きるらしい。代わりに銭ゲバ女が司令になってて笑った。ほかにも整備班の人がパイロットになったりと人事異動もある。
初戦は自機が突っ込みすぎて集中攻撃を受けてやられそうになったので、二戦目はちょっと引き気味にしていたら、白兵戦型の「戦車」に乗っている壬生屋未央が突出してしまいボコボコにされてしまった。敵の攻撃が分散するようにしなければならないことを学んだ。
戦闘はターン制で1ターンごとに移動や方向転換と攻撃等を繰り返すことになるのだけど、マニュアル操作みたいなこともできて、行動予約制でターンの初めにあらかじめ行動を入力しておくことができる。でも攻撃しようと思ったら敵が攻撃範囲にいなくて空振りするなんてことも起きる。また、この行動にはこの行動がつなげやすいみたいなものがあって、行動ごとに決まっている単語の綴り同士を重ねることで行うのがおもしろかった。
「戦車」は撃破されるとパイロットがパワードスーツを着た状態で脱出する。この状態でさらに攻撃を受けてやられてしまうと普通に戦死する。もう二度とゲームに出てこなくなる。葬式イベントみたいなのもある。自分がプレイしたときは何人も死んでしまった。
戦闘だけでなく日常パートでも死ぬことがある。なにせ食糧事情が悪いので、体の弱いキャラは補給が滞ると栄養失調で死んでしまう。日常パートで補給をなんとかしなければならない。また、プレハブ校舎は建付けが悪いので雨漏りしており、それをなんとかする必要も出てくる。
撃破された「戦車」は修理しなければならない。あまりにダメージがひどいと廃棄され、予備があれば交換になり、なければ補給待ちとなる。ハードウェアだけでなくソフトウェアも調整が必要であり、そっちはパイロットがすることになっている。
補給品は何もしなくても届くものもあれば陳情しないと届かないものもある。陳情するには
発言力を消費しなければならない。発言力はこのゲームでどうやら一番重要なパラメーターで、戦場で活躍したり日常でうまいこと行動したりすることによって上がるけれど、なにかするときに消費されるので使い方が重要となる。
戦闘は相手の兵力を3割以上減らすと「壊滅」させたことになり、撤退し始めるので「掃討戦」を行うことになる。この手の戦略ゲームには珍しいシステムだけど、実際の戦闘はそういうものなので非常にリアルだった。もちろん味方の被害が3割以上になると味方も撤退し始める。
主人公が搭乗する複座機は多連装ミサイルを装備しているので、敵を引きつけてからミサイルを打つと範囲内の敵にダメージを与えることができる。でもそうなると逆に自分が包囲されている状況にもなるので考えないといけない。ちなみにミサイルはあくまで初期装備なので好きに武器や装甲を換装できる。
作戦会議を提案することができて、そこでは多数決で物事が決まっていく。各班のリーダーが集まっていて、それぞれやりたいことや好感度なんかにより賛成反対してくる。発言力を高めて好感度を上げていけば自分が結論を左右できるみたいだった。なんなら司令になることもできるみたいだし。
既プレイの元同僚に話を聞いたところ、このゲームは無双が楽しいらしい。は?無双なんてできないが?
途中で攻略サイトも見始めたところ、ゲームのシステムを掴んでくると効率プレイにより無双できるみたいだった。このゲームは自由度が高いことがウリみたいだけど、様々なところに「正解」がある。それを見つけていくのが楽しいし(?)、見つけたあとは効率プレイが楽しいという、まあそういうタイプのゲームみたいだった。自分はもう面倒くさく感じてしまったけど。
自分はエンディングDつまり自分だけなんとか生き残りましたというひどいエンディングを迎えた。恋人の壬生屋未央もあっけなく戦死したし、ロリ少女も病死したし、最後は宇宙生物の侵略が進んで九州から撤退しなければならなくなった。
じゃあもう一度今度はしっかりやるぞ!…とはならなかった。ゲームのシステムも一通りわかったし、もうこのゲームはある程度遊んだからもういいやと思った。
初代プレイステーションのゲームだけあってロード時間が長い。アーカイブスなんだからそのぐらいなんとかしてほしかった。たぶんここをいじると他のところが動かなくなるかもしれないからだと思う。元同僚はエミュレーターでのプレイを勧めていた。
ちなみにこのゲームには進行不能になるバグが多数あって注意書きがずらずらと書かれていて最初萎えた。でもプレイ後に改めて見返してみると、よほど極端なプレイさえしなければハマりこむことはないと思う。セーブデータを3箇所ぐらい順繰りにしてセーブしていけば、ハマってもその前のセーブデータからロードして対策すればたぶん大丈夫だと思う。
一度クリアすると違う主人公でプレイできる。5人の中から選べるのだけど、パイロットだけじゃなくて整備班の人でも遊べる。どんな風になるんだろう。まあ戦闘がないだけなんだろうな。裏技を使えばなんと5人以外でも遊べるらしいけど、さすがにそこまではシステムが追い付いていないみたいでバグが発生しやすいらしい。
コーエーテクモゲームスの「太閤立志伝」シリーズに似ているなと思った。こっちは登場人物数百人の中から好きにプレイできるけど、結局のところ表題の秀吉にイベントが集中していて、他のマイナーな武将とか選んでもイベントが少なくてあまりおもしろくなさそうなので結局ほとんどやらなかった。でも商人とか忍者とか職業ごとにはそれなりに作られているみたいだったので遊んでみてもよかったかも。
このゲームの舞台が熊本なのは、開発したアルファ・システムの所在地だかららしい。実在する場所がゲームに出てきているとのことで、いわゆる「聖地巡礼」している人のブログを見かけた。
この会社のゲームといえば一番有名なのはおそらく昔テレビコマーシャルもやっていた「俺の屍を越えてゆけ」で、最初は難しくて不親切に思ったけれど歯ごたえのあるロールプレイングゲームだった。ほかに「リンダキューブ・アゲイン」あたりも名作だと言われていてやってみたかったんだけど機会を逸してしまった。
いまの人が遊ぶのはちょっと厳しいかもしれないけど、とてもユニークで柔軟なシステムと独自の世界観は時が経っても色あせておらず、いまからやってみてもいいと思う。ただ、世の中にはもっと遊びやすくて楽しいゲームがたくさんあると思うので、あまり広くは勧めない。
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